浦島太郎
浦島太郎
01
うらしま
16.0×22.2
作者・絵師等:未詳
版元:渋川清右衛門
年代:寛文(1661~1673)頃
【解説】
本書は室町時代から江戸初期にかけて作られた「御伽草子」と呼ばれる物語群の一つである。現在伝えられている物語とは異なり、浦島太郎は亀ではなく船で竜宮城へ行く。
浦島太郎
02
みずのえうらしまついのたまてばこ
水江浦島/対紫雲篋
17.3×12.8
作者・絵師等:鳥居清経画
版元:鱗形屋孫兵衛
年代:明和8年(1771)
【解説】
浦島太郎が二人の兄弟であったという物語。「ついのたまてばこ」とは二つの玉手箱のことを指す。登場人物を歌舞伎役者に例える箇所などが見られ、歌舞伎の舞台を彷彿とさせる工夫も見られる。展示箇所からは、浦島太郎が船に乗るものと亀に乗るものの両方が確認できる。
浦島太郎
03
りゅうぐうのちんせつどうじょうのざっせつつうせかいにだいうらしま
竜宮珍説堂上雑説/通世界二代浦島
18.6×13.7
作者・絵師等:飛田琴太作 古阿三蝶画
版元:鉛屋安兵衛 吉田屋新兵衛 蔦屋重三郎 播磨屋五兵衛
年代:文化元年(1804)
【解説】
本書の展示箇所は、浦島太郎が亀に乗って海上の竜宮城に向かうという構図になっている。この構図は後の作品にも多く見られ、このころから定着していった図柄であるという推定ができる。初版本は天明4年(1784)の刊行。
浦島太郎
04
ふるてづましなたまてばこ
古手妻品玉手筥
17.3×12.4
作者・絵師等:桜川慈悲成作 歌川豊国画
版元:西村屋与八
年代:寛政7年(1795)
【解説】
展示箇所は、玉手箱をあけて老人になった浦島太郎がもう一度亀に乗って竜宮へ行く場面の挿絵である。浦島太郎の扮装など、当時の江戸庶民の風俗が反映されている。
浦島太郎
05
しゅうげんうらしまだい
祝言浦島台
17.7×11.8
作者・絵師等:<2>十返舎一九作 歌川貞景画
版元:山本平吉
年代:天保2年(1831)
【解説】
浦島太郎の扮装が現在のイメージに近くなっているということが興味深い。題名の「祝言」は祝うという意味である。本文には「浦島九千歳の長生きし」とあり、浦島太郎は長寿を達成したおめでたい人物として描かれている。
浦島太郎
06
うらしまひじりきょうくんきだんたまてばこ
浦島仙人教訓奇談/玉手箱
17.7×11.6
作者・絵師等:為永春水作 歌川貞重画
版元:未詳
年代:弘化元年(1844)
【解説】
錦絵風の表紙の色調が地味に押さえられているということ、題名に教訓の文字を含むということなど天保の改革の影響を色濃く受けている作品。09・10の作品と同内容であるが、本書のみ浦島太郎が亀に乗って海上の竜宮城へ向かう構図の表紙をもつ。
浦島太郎
07
うらしまたろういちだいき
浦島太郎/一代記
11.9×7.8
作者・絵師等:鎌田在明作
版元:鎌田在明
年代:明治21年(1888)
【解説】
本書は、江戸期から明治20年代頃まで刊行されていた、「豆本」と呼ばれる文字どおり小さな形態の本である。本書と同じ時期にいくつか浦島伝説を題材にとった豆本が出されていて、それらの挿絵もほとんど同じ構図で描かれている。
浦島太郎
08
うらしまたろう
浦島太郎
26.0×18.8
作者・絵師等:徳永寿美子作 笠松紫浪画
版元:講談社
年代:昭和12年(1937)
【解説】
展示品のなかで最も新しいもので、現在よく知られている浦島像が描かれている。江戸期、明治中期まで海上にあった竜宮城が、昭和に入ってから海中に設定されたということは注目される。
浦島太郎
09
うらしまひじりきょうくんきだんたまてばこ
浦島仙人教訓奇談/玉手箱
17.8×11.7
作者・絵師等:為永春水作 歌川貞重画
版元:藤岡屋慶次郎
年代:弘化元年(1844)以降
【解説】
現在ではほとんど例が見られないが、浦島太郎は長寿の象徴で、「東方朔」と「三浦大介」とともにおめでたいモチーフとして用いられることが多かった。
浦島太郎
10
うらしまひじりきょうくんきだんたまてばこ
浦島仙人教訓奇談/玉手箱
17.6×11.8
作者・絵師等:為永春水作 歌川貞重画
版元:藤岡屋彦太郎
年代:弘化元年(1844年)
【解説】
06と同様に表紙の色調を抑え、書名に「教訓」の文字を入れるなど、華美を禁じた天保の改革の影響を色濃く受けた作品であると考えられる。06・09と同一の書。
浦島太郎
11
たまてばことうぼうさくくせんざい
玉手箱/東方朔九千歳
17.1×12.5
作者・絵師等:富川房信画
版元:未詳
年代:明和7年(1770)
【解説】
今ではほとんど知られていないが、長生きをしたとされる浦島太郎・三浦大介・東方朔はおめでたい人として、当時の人々には周知の組み合わせであった。文芸作品の他にも落語や、節分の厄払いの台詞の中にこの組み合わせが用いられることが多い。
浦島太郎
12
うらしまねんだいき
浦島年代記
20.9×15.2
作者・絵師等:未詳
版元:未詳
年代:享保7年(1722)
【解説】
「浦島年代記」は近松門左衛門によって書かれた人形浄瑠璃で、一説に元禄13年(1700)の初演といわれている。本書は享保7年上演時の絵入のパンフレットで、「絵尽」と呼ばれるもの。展示箇所では人形遣いが人形を操る様子を描いた挿絵が確認できる。
浦島太郎
13
たつのみやこそがものがたり
竜宮曽我物語
17.2×12.8
作者・絵師等:富川房信画
版元:松村弥兵衛
年代:明和8年(1771)
【解説】
曽我物語は、対面・助六・矢の根・草摺引・夜討など、歌舞伎では決まって初春に上演する狂言としてなじみが深かった。本書は、浦島太郎の夢中の出来事を、竜宮を舞台に曽我物の要素を豊富に盛り込んだ作品。展示箇所は、曽我の対面をパロディー化したもの。
浦島太郎
14
うらしまじろうほうらいばなし
浦島次郎蓬莱噺
23.4×14.9
作者・絵師等:幸堂徳知作 歌川芳年画 歌川芳幾画(口絵)
版元:春陽堂
年代:明治24年(1891)
【解説】
本書は江戸時代の本の形態を意識して出版されたため、本を販売する際に包む袋が残っている。展示箇所は本文とは関係のない、座敷で鶴と亀の舞を舞う様子を描いたもの。
浦島太郎
15
THE FISHER・BOY URASHIMA
15.5×10.2
作者・絵師等:B.M.CHAMBERLAIN作 小林永濯画
版元:長谷川武次郎
年代:明治19年(1886)
【解説】
本書は「縮緬本」と呼ばれる、縮緬状に加工された書物。現在では長谷川武次郎の弘文社において、海外向けに出版された錦絵風の挿絵をもつ書物を指すことが多い。英語版の他、フランス語版やスペイン語版も存在する。
浦島太郎
16
OURASHIMA
15.4×11.0
作者・絵師等:J.DAUTRENER訳
版元:長谷川武次郎
年代:明治30年(1897)
【解説】
15をフランス語訳したもの。チェンバレンは海外の読者を想定し、浦島伝説の資料に基づきながらも独自の視点で創作を行った。その結果、本書には他に例を見ない独特な趣向がみられる。
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