浦島太郎
浦島太郎

しんぱんうきえうらしまりゅうぐういりのず
新版浮絵浦島竜宮入之図


大判錦絵(横) 1枚絵
絵師:勝川春朗(葛飾北斎)
版元:佐野屋喜兵衛
年代:寛政年間(1789~1801)

備考:本作品は「彩られた丹後伝説」展では展示されませんでした。

【解説】
本作品は印象派の画家達にもその影響を与えた葛飾北斎が、浮世絵師となって間もない時期に勝川春朗の名で刊行した作品で、糸井文庫に所蔵される浮世絵の中でも貴重なものの一つである。尚、「勝春朗」と署名されているが、当時文人や画家の間で中国風に名前を名乗ることが流行していたためである。

浦島太郎
N01
うらしまのこりゅうぐうじょうよりきこくのず
浦島之子帰国従龍宮城之図


大判錦絵 2枚続
絵師:歌川芳年
版元:小林鉄次郎
年代:明治19年(1886)
【解説】
浦島太郎が竜宮の人々に見送られて故郷へと帰っていく図で、物語の一場面を彷彿とさせる。絵師の芳年は明治期を代表する浮世絵師で、近代日本画壇にも影響を与えた人物である。

浦島太郎
N02
きそかいどうろくじゅうきゅうつぎのうち  ふくしま
木曽街道六十九次之内 福島
うらしまたろう
浦島太郎


大判錦絵 1枚
絵師:歌川国芳
版元:井筒屋庄吉
年代:嘉永5年(1852)
【解説】
浦島伝説は木曽福島の寝覚の地にも残っている。寝覚のような山岳地帯と浦島伝説というのは奇妙な取り合わせであるが、謡曲『浦島』の舞台にもなっており、現在でも木曽福島ではよく知られた伝説である。本作品もその伝説をふまえて描かれている。

浦島太郎
N03
とうとこうめいかいせきづくし  したやいけのはた
東都高名会席尽 下谷池之端 
うらしま
浦しま


大判錦絵 1枚
絵師:<3>歌川豊国 歌川広重
版元:藤岡屋慶次郎
年代:嘉永6年(1853)
【解説】
豊国の役者絵と、江戸の有名な料理屋の店先を描いた広重の風景画を組み合わせて刊行されたシリーズの一つ。浦島太郎として描かれているのは役者の<4>中村歌右衛門であり、弘化元年(1844)に河原崎座で浦島太郎を演じた記録がある。

浦島太郎
N04
とうかいどうひとめせんりょう    かながわうらしまたろう
東海道一ト眼千両 神奈川浦島太郎 
「台の茶屋ヨリ 横浜ヲ見ル」


大判錦絵 1枚
絵師:歌川国周 <3>歌川広重
版元:海老屋林之助
年代:慶応3年(1867)
【解説】
神奈川には浦島太郎が竜宮から帰国後に流れ着いたという伝説があり、浦島寺という寺も残っていた。本作品は、その伝説をふまえて描かれた作品とみられる。浦島太郎として描かれているのは、歌舞伎役者の<2>沢村訥升。

浦島太郎
N05
ばんどうみつごろう  おのえまつすけ
坂東三津五郎 尾上松助


大判錦絵 2枚続
絵師:歌川豊国
版元:鶴屋金助
年代:文化10年(1813)
【解説】
本作品は文化10年に江戸中村座で上演された所作事「艶扇画花薦」に取材したものである。 所作事とは歌舞伎の中で上演される舞踊劇のこと。本作品に描かれた<3>坂東三津五郎、<2>尾上松助は、ともに舞踊に堪能な役者であったといわれている。

浦島太郎
N06
ごじゅうさんつぎのうちよっかいちくわな
 五十三次之内四日市桑名
「駿河之助」「太夫高窓」


大判錦絵 2枚続
絵師:<3>歌川豊国
版元:山崎屋清七
年代:安政元年(1854)
【解説】
安政元年に江戸河原崎座で上演された所作事「桑名浦島浪乙姫」を描いた作品。<1>坂東竹三郎扮する北条駿河之助と、<1>坂東しうか扮する高窓太夫が、夢の中で浦島太郎と乙姫になり対面するという幻想的な一場面である。

浦島太郎
N07
うらしまたろうたまてばこ
浦島太郎玉手箱
「市川新車」「坂東彦三郎」「沢村田之助」「中村福助」「岩井紫若」「中村歌女の丞」「市川九蔵」「中村芝翫」「河原崎権十郎」「市川小文次」「市村家橘」「市川団蔵」「坂東亀蔵」「沢村訥升」「尾上菊次郎」「大谷友右衛門」「市川小団次」「関三十郎」「中村鶴蔵」


大判錦絵 3枚続
絵師:歌川芳年
版元:笹屋喜助
年代:慶応元年(1865)
【解説】
江戸歌舞伎では、毎年正月に曽我十郎・五郎兄弟が父の仇である工藤祐経と対面する場面を上演するのが恒例となっていた。本作品はその場面をパロディー化したもので、玉手箱の煙の中に登場人物を魚に見立てた竜宮での対面が描かれている。なお、人物は全て当時の歌舞伎役者の似顔である。

浦島太郎
N08
つじうら   あた めんばこ
辻浦しま当る面箱


大判錦絵 1枚
絵師:歌川国芳
版元:未詳
年代:嘉永2年(1849)
【解説】
奇抜な趣向の作品を数多く残している国芳らしい作品で、玉手箱から飛び出している面が、全て歌舞伎役者の似顔絵になっている。画題の「辻浦」とは吉兆の占いを商いとする辻占売のことを指しており、浦島と辻占の「うら」をかけている。

浦島太郎
N09
りゅうこう                             
 流行どふけこまづくし
「竜宮ノ亀のこま」「じゆめうの長いうらしま」


中判錦絵(横) 1枚
絵師:歌川国芳
版元:伊場屋仙三郎
年代:弘化元年(1844)
【解説】
浦島太郎は平安期から近代まで長寿を達成したおめでたい人という認識がなされており、本作品はそれに基づくものである。また、この作品は現存数が少なく、そうした意味でも糸井文庫所蔵のものは貴重である。

浦島太郎
N10
たけざわじゅみょう      
 ありつ竹沢寿命くらべ
「浦島太郎」「三浦大輔」「東方朔」「菊寿童」


団扇絵
絵師:歌川国芳
版元:伊場屋久兵衛
年代:弘化元年(1844)
【解説】
画題にある「竹沢」とは、この時期に独楽の見世物芸で大活躍していた竹沢藤次を指したもの。国芳は他の絵師に比べ見世物絵を多く残しているが、その中でもN09を含めて、藤次を題材にするものが目立っている。

浦島太郎
N11
ちょうせいでんまくら かねごと
[長生殿枕の兼言]
「きく寿童」「粂の仙人」「東方朔」「チリヽン」「青王母」「浦しま太郎」


大判錦絵 3枚続
絵師:歌川国周
版元:綱島亀吉
年代:慶応2年(1866)
【解説】
本作品は慶応2年に江戸守田座で上演された「長生殿枕の兼言」に取材した作品。 この芝居の詳しいあら筋は不明であるが、西(青)王母・東方朔・菊寿童といった伝説上のおめでたい人物が登場する舞踊劇と考えられる。 こうした作品に浦島太郎が登場していることから、当時の浦島像が伺える。

浦島太郎
N12
いっかいずいひつ とうぼうさく  うらしま        こ  
一魁随筆 東方朔 浦島の子
みうらおおすけよしあき
三浦大介義明


大判錦絵 1枚
絵師:歌川芳年
版元:未詳
年代:明治6年(1873)
【解説】
現代では忘れ去られてしまっているが、長生きをしたことで有名であった三浦大介や東方朔と共に、浦島太郎は近代までおめでたい人物として認識されていた。そのためこの三人は、祝いの意味を込めた絵画の題材としてしばしば用いられた。