酒呑童子
酒呑童子

おおえやまきじんたいじのず  ざしきのぼりさんぼんつづき 
大江山鬼人退治ノ図 座敷幟三本続         


長大判錦絵 3枚続
絵師:歌川国貞
版元:森屋治兵衛
年代:天保年間(1830~1844)

備考:本作品は「彩られた丹後伝説」展では展示されませんでした。

【解説】長大判3枚に酒呑童子伝説の主要な場面を全て描いた作品。画題にある「座敷幟」とは、端午の節句の際に座敷に飾られる室内用の幟のことである。長大判という版式は浮世絵の中でも特殊なサイズであり、なおかつそれが三枚続になっている本作品のような事例はきわめて珍しい。

酒呑童子

うきえおおえやましゅてんどうじしゅえんのず
浮絵大江山酒天童子酒☆図   

 



大判錦絵(横) 1枚絵
絵師:歌川豊春
版元:西村屋与八
年代:寛政年間(1789~1801)

備考:本作品は「彩られた丹後伝説」展では展示されませんでした。

【解説】
浮絵とは洋画の遠近透視図法の技術を取り入れて描かれた浮世絵のことを指し、本作品のように奥行きのある屋内を描いた作品が多い。絵師の歌川豊春は浮絵を最も多く残している浮世絵師で、浮世絵師の最大派閥であった歌川派の祖となった人物である。

酒呑童子

おおえやましゅてんどうじしゅえんのず
大江山酒天童子酒☆図

 



大判錦絵 3枚続
絵師:歌川国芳
版元:大黒屋平吉
年代:文政年間(1818~1830)

備考:本作品は「彩られた丹後伝説」展では展示されませんでした。

【解説】
歌川豊春の浮絵を3枚続へ引き延ばした作品で、細部の描写については若干異なる点もあるが、豊春の浮絵をほぼそのまま利用している。両者を見比べることによって浮世絵の制作背景が伺える好事例の作品である。

酒呑童子
N19
みなもとのらいこうおおえやまいりのず
源頼光大江山入之図
 「卜部未季」 「平井保昌」 「臼井定光」 「源頼光」 「坂田金時」 「渡辺綱」


大判錦絵 3枚続
絵師:歌川芳員
版元:未詳
年代:嘉永元~5年(1848~1852)
【解説】
山伏に姿を変えた頼光一行が大江山に分け入り、酒呑童子に捕らわれ洗濯をさせられている姫君と出くわす場面を描いたもの。姫君の姿は江戸時代風に描かれている。画面左上部に見えているのは鬼の巌屋。

酒呑童子
N20
あずまにしきちゅうやくらべ
東錦昼夜競


大判錦絵 1枚
絵師:歌川周延
版元:小林鉄次郎
年代:明治19年(1886)
【解説】
「昼夜競」という画題のとおり、捕らわれた女性が鬼の洗濯をしているところに頼光一行が出くわす場面を昼に、寝込んだ酒呑童子を襲撃する場面を夜として描いたもの。上部には頼光による酒呑童子退治の概要を記す。

酒呑童子
N21
しゅてんどうじしゅえん     ず  
[酒呑童子酒宴の図]
「坂田公時」 「碓氷貞光」 「卜部季武」 「源頼光」 「平井保昌」 「関の次郎」 「渡辺綱」 「賊首酒呑童子」


大判錦絵 3枚続
絵師:<3>歌川国政
版元:蔦屋吉蔵
年代:弘化4~嘉永5年(1847~1852)
【解説】
酒呑童子との酒宴の場面を描いたもの。楽しげな宴の様子と、捕らえられた女性や人肉という凄惨な様子が同時に描かれている。この絵で酒呑童子は山賊として描かれており、鬼と同時に賊としてのイメージが残っていたことも確認できる。また糸井文庫には、本図のもととなった勝川春亭の絵も所蔵されている。

酒呑童子
N22
わかんひゃくものがたり
和漢百物語


大判錦絵 1枚絵
絵師:歌川芳年
版元:大国屋金次郎
年代:慶応元年(1865)
【解説】
N21と同じく酒宴の様子を描いた作品。酒呑童子の前で布引きをする鬼と女性の構図は、江戸時代中頃の文芸作品『絵本太閤記』の挿絵から取られたもの。

酒呑童子
N23
しゅてんどうじたいじ      ず  
[酒呑童子退治の図]
「摂津守源頼光」「滝口内舎人渡辺源治綱」「主馬ノ佐坂田公時」「平井保昌」「勘ヶ由判官卜部季武」「靱屓尉碓井貞光」


大判錦絵 3枚続
絵師:歌川国芳
版元:天津
年代:嘉永元~5年(1848~1852)
【解説】
武者絵の巨匠である歌川国芳の傑作の一つで、頼光らが酒呑童子を討ち取る場面を描いたもの。酒呑童子の顔に本性の鬼と人間を混在させ、他の絵師とは異なる新機軸をうちだしている。

酒呑童子
N24
らいこうおおえやまいりのず
頼光大江山入之図
 「源頼光」「渡辺綱」「平井保昌」「碓井貞光」「坂田公時」「卜部季武」


大判錦絵 3枚続
絵師:歌川国芳
版元:山本平吉
年代:嘉永6年(1853)
【解説】
頼光により討ち取られた酒呑童子の首が、火焔を吐いて空中を飛び廻る様子を描いたもの。この場面の絵は他の絵師によっても多く描かれたが、これ程の迫力で描いたものは少ない。絵師国芳の力量が確認できる作品。

酒呑童子
N25
おおえやましゅてんたいじ
大江山酒呑退治
「勘解由官卜部季武」「滝口舎人渡辺綱」「靱屓尉碓氷貞光」「主馬佐酒田公時」「源頼光」


大判錦絵 3枚続
絵師:歌川芳艶
版元:木屋宗次郎
年代:安政5年(1858)
【解説】
N24を描いた国芳の門人芳艶の作品。師の国芳と同じ場面を描くが、巨大な酒呑童子の首や逃げまどう鬼達の姿はどこかユーモラスである。

酒呑童子
N26
うきえらいこうおおえやまがいじんのず
浮絵頼光大江山凱陣之図


大判錦絵(横) 1枚絵
絵師:沢雪☆
版元:山田屋庄兵衛
年代:文化年間(1804~1818)ヵ
【解説】
酒呑童子の首を持って都へ凱旋する様子を描いた作品。酒呑童子を題材にとった数多くの錦絵の中で、この場面を描くものは少ない。そのため本図は貴重なものといえる。

酒呑童子
N27
けいせいおおえやま
契情大江山
 「茨木童子 尾上多見蔵」「渡辺綱 三枡大五郎」


中判錦絵 竪2枚続
絵師:歌川芳滝
版元:未詳
年代:慶応3年(1867)
【解説】
慶応3年に大阪の角芝居で上演された歌舞伎「けいせい大江山」に取材したもの。鬼退治を命じる金札を受け取った渡辺綱役の<5>三枡大五郎が、羅生門に住む茨木童子役の<2>尾上多見蔵と出会う場面を描く。武勇譚の一つとして渡辺綱と羅生門の鬼との対決はよく知られており、その羅生門の鬼を酒呑童子の部下である茨木童子とすることは江戸時代の文芸によく見受けられる。

酒呑童子
N28
ふえもすむつきのしらなみ
[笛澄月白浪]
「市原野鬼童丸 中村芝翫」「源頼光 坂東彦三郎」「袴垂保輔 尾上菊五郎」


大判錦絵 3枚続
絵師:歌川国周
版元:具足屋佐兵衛
年代:明治8年(1875)
【解説】
明治8年東京の新富座で上演された歌舞伎所作事「笛澄月白浪」に取材したもの。盗賊鬼同丸を源頼光が退治したという伝説をもとにした舞踊劇で、当代の名優が顔を揃えた。鬼同丸や袴垂は盗賊として有名であり、江戸時代の文芸では酒呑童子の部下として扱われることもある。

酒呑童子
N29
してんのうきぞくたいじ
四天王鬼賊退治


大判錦絵 2枚続
絵師:未詳
版元:未詳
年代:慶応年間~明治初期(1865~1868)ヵ
【解説】
頼光と四天王を子供で描いた作品。中央の子の袖には坂田金時を示す「金」の文字が入る。幕末期の諷刺画と思われるが詳細は不明。頼光達の侵入に気付いた鬼たちの反応がユーモラスに描かれる。

酒呑童子
N30
えど       はな    かございく
江戸の花 籠細工
「籠細工人亀井斎」「人形細工人和泉屋五郎兵衛」


大判錦絵 3枚続
絵師:歌川国貞
版元:伊勢屋利兵衛
年代:文政2年(1819)
【解説】
文政2年7月に江戸西両国で興行された人形の見世物を描いたもの。この見世物は巨大な酒呑童子と鬼を籠細工で製作したもので、本図でも籠細工らしく籠目が描かれている。