三庄太夫
三庄太夫
17
だゆう
[さんせう太夫]


18.5×13.1
作者・絵師等:未詳
版元:未詳(江戸板)
年代:元禄(1688~1704)頃
【解説】
三庄太夫の伝説について現存する資料は、哀切な語り物と人形操りとが結びついた「説経」 の本が最古であり、説経は後の文芸作品の核となった。本書は説経の内容を絵入りの読み物として出版した もの。また森鴎外は『山椒太夫』執筆にあたって、この作品を参考にしたといわれている。

三庄太夫
18
まさうじしゅっせのはじまり
正氏出世始


17.4×12.9
作者・絵師等:未詳
版元:未詳(江戸板)
年代:元禄(1688~1704)頃
【解説】
17のような説経の内容をふくらませて、対王丸が出世するまでを描いた作品。 本書は残念ながら増補箇所の大部分は失われているが、糸井文庫のみに所蔵される貴重書である。

三庄太夫
19
さんしょうだゆうごにんむすめ
三庄太夫五人嬢


22.2×16.2
作者・絵師等:竹田出雲作
版元:未詳
年代:享保12年(1727)
【解説】
説経における三庄太夫の五人の息子を娘に設定し直した浄瑠璃作品。本作で描かれる 唖の娘およつが、以降の三庄太夫物で重要視される「鶏娘」の原型となるなど、後世への影響が 大きい作品である。

三庄太夫
20
さんしょうだゆう せっきょう                 
三荘太夫 説経さいもん


12.6×19.7
作者・絵師等:未詳
版元:桜治
年代:未詳
【解説】
説経は後に俗謡となり、「説経祭文」などと呼ばれるようになる。糸井文庫所蔵の板木 は、岡本美根太夫が説経祭文を取り入れて創始した説経源氏節のもの。俗謡に限らず、板木が伝存する ことはきわめて稀である。

三庄太夫
21
ゆら  みなとさんしょうだゆう
[由良の湊三庄太夫]


17.1×12.4
作者・絵師等:未詳
版元:村田屋治郎兵衛
年代:未詳
【解説】
説経の内容をそのままに全ページ挿絵入りの形態で出版したもの。時代が下る につれて、三庄太夫の伝説を様々に脚色する作品が現われたが、本書のように、説経の内容を 忠実に踏まえる作品も依然としてあった。

三庄太夫
22
ふくのたねわらうかどまつ
福種笑門松


17.3×12.5
作者・絵師等:山東京伝作 喜多川歌麿画
版元:蔦屋重三郎
年代:寛政2年(1790)
【解説】
寛政元年(1789)に刊行された『嗚呼奇々羅金鶏』の挿絵をそのまま利用し、 本文を改めて、小噺本として出版したもの。三庄太夫の悪事の報いで、三女おさんは鶏娘と して生まれる。演劇で重要視された鶏娘の趣向は文芸作品にも取り入れられた。

三庄太夫
23
むかしがたりゆらのみなと
昔語由良湊



17.2×12.5
作者・絵師等:十返舎一九作
版元:村田屋治郎兵衛
年代:享和2年(1802)
【解説】
同年に出版された『増益山荘太輔』の後編にあたる。従来未紹介で あった下巻の題簽を残す糸井文庫本は貴重な存在である。

三庄太夫
24
さんしょうだゆう おいのはなむこ
山椒太夫/ 老花聟


17.1×12.9
作者・絵師等:鳥居派 
版元:鱗形屋孫兵衛
年代:宝暦6年(1756)
【解説】
三庄太夫を実は岩城家の家臣と設定し、その活躍により対王丸が世に出るという 内容。切戸の文殊の功徳によって対王丸の焼き金のあとが消える点、対王丸が落ちのびる際に 仏前の金鶏が飛んで来るという点は他には見られない趣向である。なお本書の絵師は、鳥居清倍 もしくは清満と思われる。

三庄太夫
25
さんしょうだゆうえいこのものがたり
山枡太夫栄枯物語


22.9×16.0
作者・絵師等:梅暮里谷峨作 葛飾北斎画
版元:大坂屋茂吉 関口平右衛門
年代:文化6年(1809)
【解説】
対王丸を妖狐の子と設定するなど、三庄太夫の伝説に伝奇的な内容を 盛り込んで筋を複雑にしたもの。文政8年(1825)には同じ作者により、本書の後編にあたる 『古意今調録』が出版された。

三庄太夫
26
ゆら   みなとせんげんちょうじゃ
由良の湊千間長者


17.4×11.4
作者・絵師等:永島辰五郎作、画
版元:堤吉兵衛
年代:未詳
【解説】
平正氏の伯父正忠による横領の企てを発端に、三庄太夫の伝説を描く。表紙の色彩から 明治期の刊行と思われる。作者が浮世絵師の歌川芳虎と同一人物であるため、上巻表紙には錦絵に よく見られる構図を利用している。

三庄太夫
27
たんごのくにさんしょうだゆうものがたり
丹後国三庄大夫物語


23.3×16.1
作者・絵師等:未詳
版元:(写本)
年代:未詳
【解説】
「実録本」の呼び名で分類される、史実を装った小説。安寿・対王丸の名前をそれぞれ 万珠・医王とするのが実録本の一特徴である。明治期には実録本をそのまま活字化したり、あるいは 絵本に仕立てて出版することがよく見受けられる。

三庄太夫
28
さんしょうだゆうじっき
三荘太夫実記


17.5×12.2
作者・絵師等:石部国保画
版元:菅谷与吉
年代:明治20年(1887)
【解説】
江戸時代に写本として流布した27のような実録本を、明治期になって活字化したもの。 表紙は錦絵に見られる姉弟の汐汲・芝刈の図を利用している。

三庄太夫
29
しょうほんゆらのみなと
正本由良之湊


17.7×11.5
作者・絵師等:水垣笑顔作 歌川芳鶴画 
版元:三河屋鉄五郎
年代:嘉永3年(1850)
【解説】
三庄太夫伝説を、時代背景は南北朝時代、人物も新しく設定し直して脚色した作品。 本書の表紙は前後編合わせて4冊で一枚の図柄にしたもので、特異な趣向といえる。

三庄太夫
30
えほんしょうせつ さんしょうだゆう
絵本小説/三荘太夫


15.7×11.1
作者・絵師等:綱島亀吉作
版元:綱島亀吉
年代:明治23年(1890)
【解説】
明治期になって出版された28のような本の内容を、銅版印刷の絵本に仕立てて出版 したもの。万珠姫が折檻される場面のページを開くと、三庄太夫が鋸挽きの刑に処される挿絵が あらわれるように工夫されている。

三庄太夫
31
さんしょうりゃくゆらい
山庄略由来


21.2×16.0
作者・絵師等:未詳
版元:米屋甚平
年代:未詳
【解説】
旅宿米屋で印刷され、宿泊客に配布されたもの。三庄太夫の伝説を紹介するとともに、 巻末には「首引松」や「山庄大夫屋敷跡」などの旧跡一覧を載せており、観光案内書としての性格も 持つ。